読書

奈良本辰也編 京都百話

2023-02-02 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 12 日>(赤口 辛卯 一白水星) Kyndelsmässodagen 第 5 週 第 27022 日 コロナ禍で、僕は写経のかはりに平家物語を手で写しとる作業をやってゐる。気の向いた時に写すだけなので、なかなか先に進まないのだが、そ…

平家物語 巻第四 「大衆揃 4」

2023-02-01 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 11 日>(大安 庚寅 九紫火星) Max Maximilian 第 5 週 第 27021 日 高倉の宮は三井寺を去って、南都へご出発になるのであるけれども、老僧どもには皆いとまを賜って、寺にお残しになった。しかるべき若大衆悪僧ど…

平家物語 巻第四 「大衆揃 3」

2023-01-27 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 6 日>(赤口 乙酉 四緑木星) Göte Göta 第 4 週 第 27016 日 治承4年(1180年)5月23日の暁、高倉の宮は「三井寺の僧徒だけでは持ちこたへられないであらう。山門(比叡山)は頼りにならないし、南都(興福寺)の援…

平家物語 巻第四 「大衆揃 2」

2023-01-26 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 5 日>(大安 甲申 三碧木星) Bodil Boel 第 4 週 第 27015 日 大関・小関といふ路があった。大関は逢坂を経て京都に通じる路(逢坂は京阪京津線の大谷駅のあたりかも)、小関は山城国宇治郡四宮(京阪京津線の京…

平家物語 巻第四 「大衆揃 1」

2023-01-25 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 4 日>(仏滅 癸未 二黒土星) Paul Pål 第 4 週 第 27014 日 搦手に向かふ老僧どもの顔ぶれは以下の通りである、大将軍には、源三位入道頼政、乗圓房阿闍梨慶秀、律成房阿闍梨日胤、帥法印禅智、禅智の弟子義寳・…

平家物語 巻第四 「永僉議(ながのせんぎ)3」

2023-01-22 (日)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 1 日>(先勝 庚辰 八白土星)新月 Vincent Viktor 第 3 週 第 27011 日 すると、乗圓房の阿闍梨慶秀といふ老僧が進み出た。衣の下に腹巻きをし、大きなる打ち刀を前垂れにさし、法師頭を包んで、白柄の大長刀を杖…

平家物語 巻第四 「永僉議(ながのせんぎ)2」

2023-01-21 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 30 日>(大安 己卯 七赤金星) Agnes Agneta 第 3 週 第 27010 日 この三井寺の僧たちの議論の中に、一如房の阿闍梨眞海といふ人がゐた。以前何かの折に平家のために祈祷したことのある人物である。この人は弟子…

平家物語 巻第四 「永僉議(ながのせんぎ)1」

2023-01-20 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 29 日>(仏滅 戊寅 六白金星)大寒 Fabian Sebastian 第 3 週 第 27009 日 三井寺ではまた大衆が集まって会議を開いた。「山門(比叡山)は頼りにならないし、南都(興福寺)の援軍はまだ到着しない。ここでむざ…

平家物語 巻第四 「南都牒状(なんとてうじやう)6」

2023-01-11 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 20 日>(先勝 己巳 六白金星) Jan Jannike 第 2 週 第 27000 日 <興福寺から園城寺への返事の手紙の続き> 我らは三井寺からは離れて遠い地にをりますが、その情けを感じるものです。清盛入道が猶狂気を起こして…

平家物語 巻第四 「南都牒状(なんとてうじやう)5」

2023-01-10 (火)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 19 日>(赤口 戊辰 五黄土星) Sigurd Sigbritt 第 2 週 第 26999 日 <興福寺から園城寺への返事の手紙の続き> 清盛入道は、勝ちに乗るあまり、去年の冬十一月には、後白河院のお住まゐを追ひ出し、関白を配流に…

平家物語 巻第四 「南都牒状(なんとてうじやう)4」

2023-01-09 (月)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 18 日>(大安 丁卯 四緑木星)成人の日 Gunnar Gunder 第 2 週 第 26998 日 <興福寺から園城寺への返事の手紙の続き> ところが去る平治元年十二月、後白河上皇が一度の戦争(平治の乱のこと)の功労に感心して並…

平家物語 巻第四 「南都牒状(なんとてうじやう)3」

2023-01-08 (日)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 17 日>(仏滅 丙寅 三碧木星) Erland 第 1 週 第 26997 日 さて、興福寺ではこの手紙を読んで早速に返事を書いた。それには次の様に書かれてあった。 興福寺から園城寺の寺務所にお手紙を差し上げます。 送られ…

平家物語 巻第四 「南都牒状(なんとてうじやう)2」

2023-01-07 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 16 日>(先負 乙丑 二黒土星)満月 August Augusta 第 1 週 第 26996 日 高倉の宮が突然に御身をお寄せになったものだから、三井寺の僧たちは驚き、発奮し、これを機会に平家を懲らしめやうと決意したけれども、…

平家物語 巻第四 「南都牒状(なんとてうじやう)1」

2023-01-05 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 14 日>(先勝 癸亥 一白水星) Trettondagsafton Hanna Hannele 第 1 週 第 26994 日 比叡山の僧たちはこの手紙を受け取ると、「これはどういふことだ。三井寺と云へば当山の末寺ではないか。そんな分際でよくも…

平家物語 巻第四 「山門牒状(さんもんへのてうじやう)」

2023-01-04 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 12 月 13 日>(赤口 壬戌 二黒土星) Punktskriftensdag Rut 第 1 週 第 26993 日 三井寺では貝の鐘を鳴らし、たくさんの僧たちが集まって会議をした。話し合った内容は次の様なものであった。「最近の世間の様子を眺め…

平家物語 巻第四 「競(きをほ) 8」

2022-12-09 (金)(令和4年壬寅)<旧暦 11 月 16 日>(友引 丙申 一白水星) Anna 第 49 週 第 26967 日 ちょうどその頃、三井寺では競の噂をしてゐた。渡辺党のものが「競を一緒に連れて来なかったのはまづかったんぢゃないか。六波羅に残り留まって、あいつ…

平家物語 巻第四 「競(きをほ) 7」

2022-12-08 (木)(令和4年壬寅)<旧暦 11 月 15 日>(先勝 乙未 二黒土星)満月 Virginia 第 49 週 第 26966 日 やがて、平家のお屋敷にもその日(治承4年(1180年)5月16日)が暮れかけた。大将である宗盛卿が出てこられた。競はかしこまって申し上げた。「三…

平家物語 巻第四 「競(きをほ) 6」

2022-12-07 (水)(令和4年壬寅)<旧暦 11 月 14 日>(赤口 甲午 三碧木星)大雪 Angela Angelika 第 49 週 第 26965 日 さて、その日(治承4年(1180年)5月16日)は早朝から高倉の宮が三井寺へ入られたが、その日も夜に入って、源三位入道頼政、嫡子伊豆守仲…

平家物語 巻第四 「競(きをほ) 5」

2022-12-06 (火)(令和4年壬寅)<旧暦 11 月 13 日>(大安 癸巳 四緑木星) Nikolaus Niklas 第 49 週 第 26964 日 このやうな話を聞くにつけても思ひ出されるのは、天下の人、小松のおとど(平重盛)のことである。あるとき、小松殿が参内されて、高倉天皇…

平家物語 巻第四 「競(きをほ) 4」

2022-12-05 (月)(令和4年壬寅)<旧暦 11 月 12 日>(仏滅 壬辰 五黄土星) Sven 第 49 週 第 26963 日 前右大将宗盛卿は添へられた歌に何の返事もしなかった。「ああ、良い馬だ。馬はまことに良い馬だ。されども主が出し惜しみをしたのが憎い。馬の尻に「仲…

平家物語 巻第四 「競(きをほ) 3」

2022-12-04 (日)(令和4年壬寅)<旧暦 11 月 11 日>(先負 辛卯 六白金星) 2:a advent Barbara Barbro 第 48 週 第 26962 日 源三位入道の嫡子伊豆守仲綱は「その馬は確かに持ってはゐるのですが、最近あまり乗って馬を痛めてしまひました。それで休養させ…

平家物語 巻第四 「競(きをほ) 2」

2022-12-03 (土)(令和4年壬寅)<旧暦 11 月 10 日>(友引 庚寅 七赤金星) Internationella funktionshinderdagen Lydia Cornelia 第 48 週 第 26961 日 3日前のブログで「妥協こそは平和の道」と書いたけれども、どんなに人から侮辱を受けてもニコニコ笑っ…

平家物語 巻第四 「競(きをほ) 1」

2022-12-02 (金)(令和4年壬寅)<旧暦 11 月 9 日>(先勝 己丑 八白土星) Beata Beatrice 第 48 週 第 26960 日 コロナで家に閉ぢこもるやうになってから、平家物語を手で写しとる作業を始めたのだが、10月は日本に行ったものだから中断してしまった。この…

大友皇子

2022-11-21 (月)(令和4年壬寅)<旧暦 10 月 28 日>(先勝 戊寅 一白水星) Helga Olga 第 47 週 第 26949 日 「壬申の乱」って随分昔の話で、そんな昔のこと、今さら思ひ出してもどうかなって気持ちが僕にはある。でも、里中満智子著の「天上の虹」の壬申の…

あかねさす ー 蒲生野の歌

2022-11-18 (金)(令和4年壬寅)<旧暦 10 月 25 日>(仏滅 乙亥 四緑木星) Lillemor Moa 第 46 週 第 26946 日 あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る (額田王) 紫草の 匂へる妹を 憎くあらば 人妻故に 我恋ひめやも (大海人皇子) 万葉…

天上の虹

2022-11-17 (木)(令和4年壬寅)<旧暦 10 月 24 日>(先負 甲戌 五黄土星) Naemi Naima 第 46 週 第 26945 日 里中満智子氏が日本経済新聞の「私の履歴書」を執筆したのは今年の5月頃ではなかったかと思ふ。読んで感じるところがあった。これまで氏の本を1…

田辺聖子の万葉散歩

2022-09-28 (水)(令和4年壬寅)<旧暦 9 月 3 日>(大安 甲申 一白水星) Lennart Leonard 第 39 週 第 26895 日 新聞の読書案内記事などを見ると、読んでみたくなる本が毎週たくさん紹介されるのだが、とても読む時間がない。いつも家で隠居生活を送ってゐ…

宣旨・令旨・院宣

2022-09-26 (月)(令和4年壬寅)<旧暦 9 月 1 日>(先負 壬午 三碧木星)新月 Enar Einar 第 39 週 第 26893 日 平家物語・巻第四の「信連」は昨日のブログで読み終へたが、「宣旨とはなんぞ」といふ言葉があった。本当の宣旨とは天皇が出されるものだと思ふ…

平家物語 巻第四 「信連(のぶつら) 5」

2022-09-25 (日)(令和4年壬寅)<旧暦 8 月 30 日>(先勝 辛巳 四緑木星) Tryggve 第 38 週 第 26892 日 入道相国(平清盛)は御簾の中である。その息子である前右大将宗盛卿は大床に立って、庭にひっ据ゑられた信連に対して尋問を始めた。「まことにわ男(…

平家物語 巻第四 「信連(のぶつら) 4」

2022-09-24 (土)(令和4年壬寅)<旧暦 8 月 29 日>(赤口 庚辰 五黄土星) Gerhard Gert 第 38 週 第 26891 日 さつき十五夜の雲間の月が現はれ出でて地上は明るい。相手は家のつくりや勝手がよくわからない。それに対して信連の方は勝手知ったる御所である…