読書

平家物語 巻第四 「鵼 4」

2023-05-13 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 24 日>(友引 辛未 二黒土星) Linnea Linn 第 19 週 第 27122 日 今夜も御脳の刻限が来た。日頃から人の申してゐた通りに、東三条の森の方より黒雲ひとむら立ち来て、御殿の上にたなびいた。頼政はその雲をきっと…

平家物語 巻第四 「鵼 3」

2023-05-12 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 23 日>(先勝 庚午 一白水星)下弦 Charlotta Lotta 第 19 週 第 27121 日 堀河天皇の御代にもその様なことがあったのなら、先例に任せて、今回も武士に命じて警固させてはどうか。公卿たちはその様に言ひ合った。…

平家物語 巻第四 「鵼 2」

2023-05-11 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 22 日>(赤口 己巳 九紫火星) Märta Märit 第 19 週 第 27120 日 ところで、源三位入道頼政の生涯の手柄と云へば、鵼を退治したことであらうか。三十年近く前の仁平の御代の話だが、近衛院御在位の時、主上は夜な…

平家物語 巻第四 「鵼 1」

2023-05-10 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 21 日>(大安 戊辰 八白土星) Esbjörn Styrbjörn 第 19 週 第 27119 日 (「鵼」とも「鵺」とも書いて「ぬえ」と読む。字引を引くと「トラツグミ」の異称とあり、さらに怪鳥の名とある。源頼政は以仁王を奉じて乱…

夜中に目が覚めて

2023-05-03 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 14 日>(仏滅 辛酉 一白水星)憲法記念日 John Jane 第 18 週 第 27112 日 夜中に目がさめる。起きて机に向かふ気力は出ない。それならまた休めば良いのだが、枕元の Kindle 端末を取り出して寝ながら読む。これは…

平家物語 巻第四 「通乗之沙汰 3」

2023-04-26 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 7 日>(先負 甲寅 三碧木星) Ledarhundens dag Teresia Terese 第 17 週 第 27105 日 高倉の宮の御謀叛の時に、仏力によって怨敵を降伏させる様に言ひつかって、平家のために祈りをした高僧たちに論功行賞があっ…

平家物語 巻第四 「通乗之沙汰 2」

2023-04-25 (火)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 6 日>(友引 癸丑 二黒土星) Markus 第 17 週 第 27104 日 昔、通乗といふ名の相人が居た。宇治殿(藤原頼通)・二條殿(藤原教通)を、「天皇三代の関白としてお仕へするでせう、また御歳八十まで長生きされるで…

平家物語 巻第四 「通乗之沙汰 1」

2023-04-24 (月)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 5 日>(先勝 壬子 一白水星) Vega 第 17 週 第 27103 日 高倉の宮には、奈良にも若宮が居られた。養育係であった讃岐守重秀が御出家のお世話をして、その重秀と一緒に北国へ落ちて行かれた。ところが後に木曽義仲…

山折哲雄氏の「生老病死」

2023-04-19 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 29 日>(赤口 丁未 五黄土星) Olaus Ola 第 16 週 第 27098 日 現代のこの世にゴマンと増えてしまった高齢者たちは、これから先をどの様に老いていけば良いのかと迷ってゐる人も多いのではないかと思ふ。むろん僕…

平家物語 巻第四 「若宮出家 4」

2023-04-17 (月)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 27 日>(仏滅 乙巳 三碧木星) Elias Elis 第 16 週 第 27096 日 前右大将宗盛卿(清盛の三男。昨年、兄重盛が亡くなった後の平氏を率いるリーダー。この時33歳。中宮・徳子(後の建礼門院)の同母兄でもある。)…

平家物語 巻第四 「若宮出家 3」

2023-04-16 (日)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 26 日>(先負 甲辰 二黒土星) Patrik Patricia 第 15 週 第 27095 日 なんとなくあたりがものものしい。その様に察した、まだ七歳の若宮は女院に申し上げた。「事がこれほど重大になったのですから、もはや私は逃…

平家物語 巻第四 「若宮出家 2」

2023-04-15 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 25 日>(友引 癸卯 一白水星) Olivia Oliver 第 15 週 第 27094 日 この高倉の宮は、御子の宮たちを、方々に、たくさんもうけてをられた。その中でも八条女院(保延3(1137)年4月8日,鳥羽天皇と皇后藤原得子(美福…

平家物語 巻第四 「若宮出家 1」

2023-04-14 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 24 日>(先勝 壬寅 九紫火星) Tiburtius 第 15 週 第 27093 日 平家の人々は、このたび謀反を起こした高倉の宮(以仁王)、並びに三位入道の一族、三井寺の衆徒、総勢五百餘人の頸を太刀長刀の先に貫き、高くさし…

「茜唄」の読後感

2023-04-07 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 17 日>(赤口 乙未 二黒土星) Långfredagen Irma Irmelin 第 14 週 第 27086 日 コロナ以降、細々と平家物語を手で紙に写し取る作業をしてゐることもあって(それもいつまで続けられるか分からないが)、物語との…

戦場における辞世の句

2023-04-03 (月)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 13 日>(友引 辛卯 七赤金星)Ferdinand Nanna 第 14 週 第 27082 日 平家物語 巻第四「宮御最期」のところで、源頼政が自決する場面がある。歌人でもあった頼政は敵が迫ってくるいくさの中で辞世の句を詠んだ。そ…

平家物語の功罪

2023-04-02 (日)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 12 日>(先勝 庚寅 六白金星)Gudmund Ingemund 第 13 週 第 27081 日 およそ古典のすごいところは、それを読んだことのない者であっても、その国に住めば漠としてそこに流れる思想が受け継がれてしまふことだ。文…

平家物語 巻第四 「宮御最期 8」

2023-04-01 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 11 日>(赤口 己丑 五黄土星)Harald Hervor 第 13 週 第 27080 日 その中に宮の御乳母子であった六条大夫宗信もゐた。敵は後から続いて来るし、馬の足は弱いし、たまりかねて宗信は贄野池へ飛んで入った。浮き草…

平家物語 巻第四 「宮御最期 7」

2023-03-31 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 10 日>(大安 戊子 四緑木星)Ester Noa 第 13 週 第 27079 日 飛騨守景家は老練なつはものであった。このまぎれに、宮はきっと南都へお急ぎになってゐるに違ひないと予想して、いくさには参加せず、その勢五百余…

平家物語 巻第四 「宮御最期 6」

2023-03-30 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 9 日>(仏滅 丁亥 三碧木星)Holger Holmfrid 第 13 週 第 27078 日 平家の侍どもは、あのにくい仕打ちをしてくれた競の瀧口を何としてでも生け捕りにしたいとうかがってゐた。けれども、競の方では相手のそんな気…

平家物語 巻第四 「宮御最期 5」

2023-03-29 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 8 日>(先負 丙戌 二黒土星)Jonas Jens 第 13 週 第 27077 日 源三位入道頼政は渡邊長七唱をめして、「我が頸うて」と言はれた。唱は主の生け首をうつことの悲しさに、涙をハラハラと流して「たうていできるとも…

平家物語 巻第四 「宮御最期 3」

2023-03-26 (日)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 5 日>(赤口 癸未 八白土星)Emanuel 第 12 週 第 27074 日 三位入道は七十を過ぎてのいくさである。左足の膝に矢を受けて重傷を負った。心静かに自害せんとして、平等院の門のうちへひき退いた。そこへ敵が襲ひか…

平家物語 巻第四 「宮御最期 2」

2023-03-25 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 4 日>(大安 壬午 七赤金星) Marie bebådelsedag 第 12 週 第 27073 日 これを見て、大将軍左兵衛督知盛は「わたせやわたせ」と下知された。それで二万八千余騎は、川に馬をうち入れて渡り出した。馬や人にせき止…

平家物語 巻第四 「宮御最期 1」

2023-03-23 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 2 日>(先負 庚辰 五黄土星) Gerda Gerd 第 12 週 第 27071 日 平家方の先発隊三百餘騎は全員水かさの増えた宇治河を無事に渡った。その行動を指揮した下野國の住人、足利又太郎忠綱は、朽葉の綾の直垂に、赤皮威…

平家物語 巻第四 「橋合戰 6」

2023-02-22 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 3 日>(仏滅 辛亥 三碧木星) Pia 第 8 週 第 27042 日 足利又太郎忠綱が真っ先に宇治川に入って行くと、上野國から大胡・大室・深須・山上、那波太郎、佐貫廣綱四郎大夫、下野國から小野寺禅師太郎、邊屋子の四郎…

平家物語 巻第四 「橋合戰 5」

2023-02-21 (火)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 2 日>(先負 庚戌 二黒土星) Fettisdagen Hilding 第 8 週 第 27041 日 浄妙房が渡ったのを手本にして、三井寺の大衆・渡邊党は走り続き走り続き、我も我もと行桁を渡った。敵の首を取って帰るもの、武器を奪って…

平家物語 巻第四 「橋合戰 4」

2023-02-20 (月)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 1 日>(友引 己酉 一白水星)新月 Vivianne 第 8 週 第 27040 日 ここに乗圓房の阿闍梨慶秀が召し使ってゐた一來法師といふ大ぢからの早業があった。浄妙房のすぐ後ろについて戦ったのだが、行き桁は狭いし、そば…

平家物語 巻第四 「橋合戰 3」

2023-02-19 (日)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 29 日>(大安 戊申 九紫火星)雨水 Gabriella Ella 第 7 週 第 27039 日 続いて同衆の中から橋の上に現れたのは筒井の浄妙明秀である。黒みがかった藍色の直垂に黒皮威の鎧着て、しころが五枚ある甲の緒をしめ、黒…

平家物語 巻第四 「橋合戰 2」

2023-02-18 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 28 日>(仏滅 丁未 八白土星) Frida Fritiof 第 7 週 第 27038 日 宮の御方からは、大矢の俊長、五智院の但馬、渡邊の省・授・続の源太が射ける矢は鎧にも引っかからず、盾にも遮られないで通るのだった。源三位…

平家物語 巻第四 「橋合戰 1」

2023-02-17 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 27 日>(先負 丙午 七赤金星) Alexandra Sandra 第 7 週 第 27037 日 高倉の宮は三井寺を去って南都へご出発になったが、宇治に着くまでの間に六度までも御落馬あった。これは昨夜お眠りになれなかったからだとい…

余人をもって替へがたし

2023-02-03 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 13 日>(先勝 壬辰 二黒土星) Disa Hjördis 第 5 週 第 27023 日 平家物語巻第四の「大衆揃」に鶏鳴狗盗のエピソードが出てくる。百人一首に清少納言の歌として出てくることもあって、日本人にはよく知られた話で…