世の中は非対称だ

2022-08-29 (月)(令和4年壬寅)<旧暦 8 月 3 日>(仏滅 甲寅 四緑木星) Hans Hampus 第 35 週 第 26865 日

 

何につけても世の中は非対称だ。「どんなに身近に運の良い人がゐても、私は決してその人を妬んだりしない」と自分に言ひ聞かせるのだが、自分がその様に思ふのだから、「他の人もきっとその様に思ってくれるに違ひない」と思ってはいけない。「日本は他国を侵略することはない」と日本人は思ふのだが、さうであるから「他国もきっと日本を侵略することはない」と信じてはいけない。私が自分に何かを命じる時は、その対象が自分であるからこそ命じることができるのであって、もし、他人に向かって同じ命令を発したら、たちまち人権問題になってしまふ。それがどんどんエスカレートすると、戦時中の日本の様に「お国のために特攻兵として志願してくれるね」となってしまふのだ。人間はいつもふたつのスケールを持たないといけないと思ふ。内向きに測るスケールと外向きに測るスケールとだ。これらは非対称である。その非対称を埋めてくれるのが忍耐といふ心の働きである。「ダブルスタンダード」といふ言葉があって、何かそれは悪いことのように言はれるが、僕に言はせれば、自分向けのスタンダードとよその人向けのスタンダードが同じであってはいけないのだ。「あの人があれだけやるのだから、私もこれくらいやって良い」とか「あの国がここまでえげつなくやるのだから、我が国もこれくらいはやって良い」と思って行動すると必ず間違ふ。自由や平等を勘違ひしてはいけない。自分の方が随分条件が低くて不平等だなと自分の側からはそのように見える時でも、他の人から見ると平等だと思はれてしまふことってあると思ふ。世の中に客観的統一基準などないのだ。非対称なふたつのスケールのバランスをどのように取れば良いか、考へながら行動することが大事なんだと思ふ。

我が家のもみじの先端部に秋の色が