平家物語「行隆之沙汰 2」

2022-05-25 (水)(令和4年壬寅)<旧暦 4 月 25 日>(仏滅 戊寅 九紫火星) Urban 第 21 週 第 26775 日

 

そもそも、どうしてこのように、身分の高いものも低いものも滅んで亡くなってしまふことになったのかといへば、当時関白になられた二位中将殿と前の殿の御子三位中将殿との間で中納言の地位をめぐって争ひがあったことによる。さうであるなら、関白基房公おひとりこそ、どんな目にお会ひになっても仕方のないことであるが、四十余人までも罪にあはねばならないといふ理屈があるだろうか。世の中が乱れるのは新院の祟りではないかと恐れて、去年、讃岐院に崇徳天皇と御追号され、また、宇治の悪左府藤原頼長)にも贈官があったけれども(この話は「赦文」のところで出て来た。去年8月18日のブログ)、世間はなを静かにならない。どうも讃岐院や悪左府の祟りだけではないのではないかとも思はれる。「清盛の心に天魔がかはって入り込んだので、腹の中をおさめられないのだ」といふ噂が立って、「また天下にどんなことが起こるか分からない」と言って、京中、上のものも下のものも、皆おそれおののくのであった。

サーッと短い雨が来て、雨上がりの散歩道