平家物語 巻第六 「小督 8」

2024-08-25 (日)(令和6年甲辰)<旧暦 7 月 22 日>(仏滅 辛酉 六白金星) Lovisa Louise  第 34 週 第 27588 日

 

未明の御所に着いた仲國は「今はまだ帝はご寝所でお休みであらう。誰に申し入れれば良いだらうか」と言って、龍の御馬をつながせ、いただいてきた装束を清涼殿の馬の書いてある衝立に投げかけ、南殿の方に回ってみた。すると帝は昨夜居られたご座所にまだ居られたままであった。和漢朗詠集の詩を吟誦しておいでである。「南に翔けり、北に向かふ、寒温を秋の雁につけ難し、東にいで、西に流る、ただ瞻望を暁の月に寄す」そこへ仲國がつっと参った。「小督殿からのお返事でございます」。君、なのめならず御感あって、「すぐ今夜連れて来い」といふことになった。もしこんなところがバレたら入道相国からどんなお仕置きを受けるかわからないと恐ろしかったが、一方でこれはまた綸言(天皇のお言葉)であるので、お聞きしないわけにはいかない。雑色・牛・車を綺麗にして嵯峨へお迎へに行った。「私は宮中へは参りませんよ」と小督はさまざまに抵抗するのだが、それを仲國はいろいろになだめて車にとりのせ奉り、内裏へと帰って行った。内裏では人目につかない場所にお入りいただいた。そして夜な夜な召されることになるのだった。この時、姫宮が一緒に出入りされた(高倉天皇と小督の間には姫君がお生まれであった)。この姫宮といふのは坊門の女院(範子内親王)のことである。(ウイキペディアによると、範子内親王のお生まれは1177年12月4日と書かれてある。高倉天皇崩御は1181年1月30日)。

Stockholm では風強く一時雨、夕方には晴れた。