平家物語 巻第六 「小督 6」

2024-08-23 (金)(令和6年甲辰)<旧暦 7 月 20 日>(友引 己未 八白土星) Signe Signhild  第 34 週 第 27586 日

 

仲國は家の側面の戸の外側に立ち、ぬれ縁から、「どうしてこの様なところに来られたのですか。天子様はあなたゆへに思ひ沈まれて、お命さへも危ういかしれないほどになってをられるのですよ。私が嘘を言ってるとお思ひになるかもしれませんね。ここに御書をたまはって参りました。」と言って御書を取り出した。さっきの少女がそれを取り次いで、小督殿にお渡しした。開けてご覧になると、まさに君からの御書であった。すぐにお返事を書いて、引き結び、(仲國への引き出物として)女房の装束をひと重ね添へて渡した。仲國はいただいた装束を肩に打ち掛けながら申し上げた。「普通のお使ひで参ったのであれば、お返事をお預かりした上はこのまま引き下がるべきであると心得ます。ですが、日ごろ内裏でお琴をあそばした時には、この仲國が笛の役を仰せつかったのですよ。そのことをお忘れになったのではないでせうね。もしこのまま直接のお返事をお聞きせずに御所へ引き上げたなら、とても残念な思ひが残ります。」すると、小督殿はもっともなこととお思ひになったのであらう、みづからお気持ちをお話になるのだった。

気温18℃。この夏の外のプール(50m)を利用できるのは今日が最後になった。