平家物語 巻第六 「小督 9」

2024-08-26 (月)(令和6年甲辰)<旧暦 7 月 23 日>(大安 壬戌 五黄土星)下弦 Östen  第 35 週 第 27589 日

 

どうも小督殿は内裏にあって、夜な夜な帝とお逢ひになってゐらっしゃるらしいといふ噂が、どこからともなく入道相國のお耳に入った。「小督がどこかへ行ったといふのは嘘であったのだな」と入道相國は怒って、小督殿をとらへ、尼にして放り出した。小督殿にしてみれば、出家の覚悟ははじめからできてゐたのだし、むしろそれが望みであったのだし、世を捨てることには何の未練もなかったのであるけれども、いきなり暴力的に尼にされてしまったことで心に深い傷が残った。お年23歳、濃き墨染にやつれはてて、嵯峨の辺にお住まゐになったといふことである。聞いても心が痛くなる話である。高倉天皇の方もそのことで深くお悩みになって、遂にお亡くなりになってしまったのだと言はれてゐる。(ウィキペディアによると、1205年に藤原定家が嵯峨で病床に臥す小督殿を見舞ったといふ記録があるさうであるが、小督殿の没年は不明とのこと)。

スウェーデンの道路標識はわかりやすい