皇族たちの万葉集

2023-10-22 (日)(令和5年癸卯)<旧暦 9 月 8 日>(仏滅 癸丑 八白土星)上弦 Marika Marita   第 42 週 第 27284 日

 

この前、天智天皇持統天皇のことを書いたので、ついでにこの時代の皇族や宮廷詩人の有名な歌を一首づつ書いてみる。

 

天智天皇

秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ

田辺聖子百人一首」によるとこの歌は天智天皇の作ではないと書かれてある。言はれてみればなるほど感がある。それなのに定家は巻頭にこの歌を置いた。その理由は、、、?この本を読めば、定家もしくはこの時代の人たちの考へ方に、またなるほど感がある。

 

持統天皇

春過ぎて夏きたるらし白妙の衣ほしたり天の香具山

 

額田王

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

 

大海人皇子

紫草の匂へる妹を憎くあらば人妻ゆゑにわれ恋ひめやも

 

鏡王女

神奈備の岩瀬の杜の呼子鳥いたくな鳴きそ我が恋まさる

 

柿本人麻呂

東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ

 

大伯皇女

わが背子を大和へ遣るとさ夜ふけて暁露にわが立ち濡れし

 

大津皇子

あしひきの山の雫に妹待つとわれ立ちぬれぬ山の雫に

 

志貴皇子

葦辺ゆく鴨の羽がひに霜降りて寒き夕べは大和し思ほゆ

 

有間皇子

家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る

 

今日のブログは有名な歌を再掲するだけになった。何首かは学校で習った。「田辺聖子の万葉散歩」を参照した。歴史の物語と歌とを思ひ合はせてみるのは(何も知らないものが言ふのも変だが)結構楽しい。里中満智子の「天上の虹(持統天皇物語)」にも随所に万葉の歌が引用されてあって興味深かった。

スウェーデンの秋も後半に入った。