平家物語 巻第五 「物怪之沙汰 2」

2023-09-26 (火)(令和5年癸卯)<旧暦 8 月 12 日>(先勝 丁亥 七赤金星) Enar Einar    第 39 週 第 27258 日

 

またある朝早く清盛は目覚めて、とばりの垂れた寝所の側面の戸を開けて外に出た。中庭を見ると、死人のしゃれこうべがたくさん庭に満ち満ちて、それらが上になったり下になったり、転がりあってぶつかったり離れたり、端のものは中へと転がり、中のものは端へ出るなどしてゐた。たくさんのしゃれこうべがガラガラ音を立ててゐるので、清盛は「誰かゐるか」と人を呼ばれたのだが、おりふし誰も参らなかった。やがて多くの髑髏はひとつに固まりあって庭に満ち塞がった。その高さは十四五丈(40メートル以上)にもなるかと思はれるほどの山のごとくになった。その中のひとつの大きな頭に、まるで生きてゐる人のまなこの様な大きなまなこが千万出て来て、清盛をカッと睨んで瞬きもしない。清盛は少しも騒がず、しばらくその場に立ってはたと睨み返した。するとこの大きな頭は、あまりに強く睨まれたものだから、霜や露がお日様に当たって消えるやうに跡形もなく消えた。

スウェーデンでは日本より秋の季節が長い様に感じる。