平家物語 巻第五 「都遷 2」

2023-08-12 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 6 月 26 日>(先勝 壬寅 七赤金星) Klara    第 32 週 第 27213 日

 

ところで、清盛は鹿ヶ谷の陰謀以来、法皇様に心をゆるすことができなかった。それで法皇様を院の御所から追ひ出し鳥羽殿に幽閉申し上げた。最近になってやっと思ひ直して幽閉を解き、都へお帰りいただくことができたと思ったら、その直後に法皇の第二の皇子である高倉の宮が御謀反を起こされた(以仁王の乱)ので、またもや怒りが爆発した。今度は法皇様を福原へお行かせ申し上げ、四面を板塀で囲って、一面だけ開いた三間の板屋を作ってそこへ押し込めまいらせた。守護の武士は原田の大夫種直である。人がたやすく近づくことのできる場所でもないので、童部は籠の御所とよんだ。その様な子供の言葉を聞いただけでも不吉で大変なことであった。法皇様は「今はもう世の政をしようなどとは全く思はない。ただ山々寺々修行して心のままに慰まるならそれで良いのだ」とおっしゃるのだった。およそ平家の悪行はここに極まった。「去る安元の年の、鹿ヶ谷の一味の処分があってから今日まで、多くの卿相雲客、あるひは流し、あるひはうしなひ、関白まで流し奉り、我が聟を関白になし、法皇を城南の離宮(鳥羽殿)に移し奉り、第二の皇子である高倉の宮を討ち奉り、もう残ってゐる悪行と云へば都移りだけなので、最後にこれをやったわけなのだらうか」と人は言ふのであった。

午後はフィーカに呼ばれて、、。