平家物語 巻第四 「若宮出家 4」

2023-04-17 (月)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 27 日>(仏滅 乙巳 三碧木星) Elias Elis  第 16 週 第 27096 日

 

前右大将宗盛卿(清盛の三男。昨年、兄重盛が亡くなった後の平氏を率いるリーダー。この時33歳。中宮・徳子(後の建礼門院)の同母兄でもある。)は、六波羅へ連れて来られた若宮を見て、父の清盛の前に進みでて申し上げた。「一体、どうしたといふのでせう。この宮にお会ひしてみるとあまりにいとをしう思はれてなりません。理を曲げて、この宮の御命を宗盛にお預けくださいませんか。」清盛は「さういふことならさっさと出家させるが良からう。」と答へた。早速宗盛卿はこのことを八条女院に申し上げた。女院は「何の異存もあらうはずはありません。どうぞ、ただもうすぐに出家させてください。」と言はれた。若宮は法師になって、仁和寺の御室の御弟子になられた(この場合の御室は地名ではなくて、仁和寺の長者のこと。当時の御室は覚性親王であらうと注記にあり。)後の東寺の事務総摂者首席者の安井の宮の僧正導尊と申しあげる御方は、この宮の御事である。

梢に新芽の気配がある