平家物語 巻第四 「橋合戰 2」

2023-02-18 (土)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 28 日>(仏滅 丁未 八白土星) Frida Fritiof 第 7 週 第 27038 日

 

宮の御方からは、大矢の俊長、五智院の但馬、渡邊の省・授・続の源太が射ける矢は鎧にも引っかからず、盾にも遮られないで通るのだった。源三位入道は長絹の鎧直垂に科革縅の鎧である。その日を最後と覚悟してか、わざと甲はお着けにならなかった。嫡子伊豆守仲綱は、赤地の錦の直垂に、黒糸威の鎧である。弓を強く引かうとして、これも甲はつけなかった。ここに五智院の但馬、大長刀の鞘を外して、ただ一人橋の上に進み出た。平家の方はこれを見て、「あれ射とれや物ども」と言って、すぐれて強い弓の上手どもが矢先を揃へて、さしつめひきつめさんざんに射る。但馬は少しも騒がず、上の方に飛んで来る矢をつゐくぐり、下に来る矢をおどり越へ、向かって来るものを長刀で斬っておとす。敵も味方も見物する。そのことがあってから、矢きりの但馬と呼ばれる様になった。

昨日はスウェーデン南部に嵐が来て、その余勢か、この辺も風が強かった