電話とSMS

2022-07-29 (金)(令和4年壬寅)<旧暦 7 月 1 日>(先勝 癸未 八白土星新月 Olof Olle 第 30 週 第 26840 日

 

電話器が発明された時は画期的な技術革新であったらうと思ふ。遠く離れた人とお話ができるなんて素晴らしいことだ。我が家に電話が引かれたのは高校時代であったらうか。僕は最初の頃は電話が好きでなかった。相手の言葉をキチンと聞き取ることができないと何と相槌を打って良いのか分からずにモゾモゾして、通話料金もかかるし、なんだか緊張したものだ。それでも次第に電話を利用する生活に慣れていった。青春時代には多くの友達ともよく電話で話をしたものであった。ところが老年になって、スマホといふものが登場してからは、昔ほど頻繁に電話をしなくなった。これは僕が老いたからばかりではなくて、世の中がその様になったのだと思ふ。SMS機能を利用して大抵の用事は済ませられる。電話だと相手の都合の悪い時間かもしれないといふ遠慮があるが、SMSだとその心配がない。それで、ついついSMSで用件をすませてしまふのだが、状況によっては電話の方が話が早い場合もある。相手の感じてゐることが電話だとスッとわかるのに、SMSで文字にして送ると微妙な気持ちが届かないこともある。僕は絵文字やスタンプを使はない(といふよりできない)ので余計さうなのかもしれないが。そんなことを思ふと、直接なんでも電話で話し合った昔の時代の方が、コミュニケーションはよく取れたのかもしれないと思ふこともある。相手の都合の悪い時でも飛び込んで話をする様なわがままを、お互ひに許し合へた時代は、それはそれで幸せであったかもしれない。

緑の大地と青い空と白い雲。