教訓状の感想

2021-02-02 (火)(令和3年辛丑)<旧暦 12 月 21 日> (友引 辛巳 九紫火星)節分 Kyndelsmässodagen  第 5 週 第 26289 日

 

昨日のブログを書いた時、平重盛のあの明快な教訓は、鎌倉時代以降これまでにどれだけ多くの日本人たちの共感をそそってきたことだろうかと思った。この節のあとすぐに、有名な「忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず」といふ言葉が出て来る。この世で功なった人たちは得てしてその賞に誇り、平清盛がさうであったように、この程度の報酬は受けて当然だと思ふようになる。しかしそこを慎むのが人の道だと重盛は言ふ。日産元会長のゴーンさんに聞かせてあげたい話だ。ゴーンさんばかりではない。たった1%の富裕層が世界の富の大半を保有してゐるなどのニュースを聞くと、集まってしまった富をどの様に社会に還元するべきかを決めるのは富裕層の人々自身に天が課した重大な責務であると僕は思ふ。その様な志を持たない富裕者は、長い年月のうちには、天命のうちに滅んで行くであろうと、平家物語を読んで僕は思ふのである。最近「資本主義の時代は終はった」とか言はれることがあるのも、資本主義が悪いと言ふよりも、資本家がその様な私欲を抑へる自覚を持たないからであると思ふ。

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夜の闇に白い枝が伸びる。