卵焼き占ひ

2021-01-24 (日)(令和3年辛丑)<旧暦 12 月 12 日> (大安 壬申 九紫火星) Erika   第 3 週 第 26280 日

 

たまに卵焼きを作ることがある。大抵5個の卵をボールに落としてかき混ぜて作る。僕の唯一のレパートリーである。結構うまくできることもあるが、転がして巻く時に変な形になってしまふこともある。途中で変な形になったとしても、それを芯として周りを焼きたす時に形を挽回する様に試みるのだが、焼きあがった後に包丁を入れてその断面を見ると、活断層の様な模様ができてしまふ。空気が入ってフワフワすることもある。丸いフライパンは鉄板で、周囲の縁に高さがないものだから、巻き込んでいくと押されて縁から溢れてしまふ。それで、溶かした卵を流し込む時は量を少なめにして、押されしろを残して空ける。その様にしても、うまくいかない時はうまくいかない。卵がフライパンにくっついてしまって、ボロボロになることもある。いつでも安定した綺麗な卵焼きに仕上げるのはなかなか難しい。出来上がりを評価するのにチェックポイントをいくつか作る。卵がフライパンにくっつかずにできたか、フライパンから溢れさせなかったか、形はどうか、焼き具合の色はどうか、断面の渦巻きの美しさはどうか、などである。実はこれらはその日の僕の調子を占ってゐる様にも見える。古代の中国では甲骨に熱を加へ、発生したひび割れの形で将来を占ったと言ふ。その発想は分かる気がする。僕の場合は自分の焼いた卵焼きの断面の模様でその日の運勢を占ふのである。できた卵焼きは娘のところへ持って行ってみんなに食べてもらふ。大吉も中吉も分け隔てなく「美味しい美味しい」と言って食べてくれる、心優しい人たちだ。

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冬の海の夜景