中村医師の偉業

2019-12-05 (木)(令和元年己亥)<旧暦 11 月 9 日> 先勝 丙子 四緑木星) Sven  第 49 週 第 25864 日

 

中村医師がアフガニスタンで銃撃され死亡した。この人のことを僕は知らなかったが、聞けば聞くほど現地で人道支援をされた方らしい。日本を離れて外国で生活する人は多いが、その中にはこの様に普通の人にはできないことを実践される方がある。日常生活に追はれてゐる普通の人には、「何故そんな危ないところまで出かけていくのか」とその行為の意味がわからない人もあるかしれないが、さうではない、僕は素直に尊敬したいと思ふ。自分にはごく身近の身の回りのことしかできないから、この様なことを成し遂げる人は本当に偉いと思ふ。銃に撃たれて薄れ行く意識の中で中村さんはどの様なことを思っただろうか。後悔はなかったろうと推察する。また、自分を撃ったものへの憎しみもなかったのではないかと推察する。残念だといふ月並みな言葉で弔辞を述べてもあまり鎮魂にはならないのかもしれない。聖書のコリント人への手紙には、「神は真実な方ですから、あなたがたを、耐へられないほどの試練にあはせることはなさいません」といふ言葉がある。しかし、この言葉は裏を返せば、覚悟して生きる人間にはその覚悟に応じた運命が用意されてゐるとも解釈できるのだ。僕らは生まれた時から日本国憲法といふものがあって、それに守られて基本的人権を当たり前のものとして生きてゐるが、世の中とは本来もっと不合理なものだと思ふ。「世界に平和を」と口にすることはやさしいが、その覚悟を身に引き受けることはまことに難しいのだと思ふ。

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梢の先の月。実際よりも月の輪郭がぼやけてしまった。