京都での四日目

2018-10-25 (木)(平成 30 年戊戌)<旧暦 9 月 17 日>(先勝 庚寅 七赤金星)満月 Inga Ingalill 第43週 第 25460 日

 

僕らが泊まったホテルは新しい設備が整ひ、全てが合理的にできてゐて、なかなか良かったのだが、不便なこともあった。機械が余計なことをしゃべるのである。このため、部屋に入った瞬間にせっかく寝た子が目を覚ましてしまふ。入口のドアを閉めるだけで自動でロックがかかり、ご丁寧に「ドアがロックされました」とか言ふのである。すると幼子はすぐ耳元に聞こえるその声で目を覚ましてしまふ。給湯温度を変更しても、その都度、「何度に設定されました」とかしゃべるのである。消音機能がないので困った。あれは大人にとってもうるさい。機械には静かにして欲しいと思った。ともかくも 4 日目には娘も元気になったので、全員で嵯峨野へ出かけてみた。竹林の散歩道は印象的であったし、紅葉にはまだ早かったけれども秋の雰囲気があった。僕は祇王寺へ行ったことがなかったので、そこへも行き、また、大河内山荘へも行った。古い時代にはあの近辺は野辺の送りの地であり、化野なんてちょっと怖い名前である。怖いながらも惹かれる感じがある。まだ21歳の祇王が二つ下の妹や母と一緒に尼となって暮らした時代には、ここらは本当に寂しい場所であったらうと思ふ。仏御前も尼の姿になって彼女らを訪ね、許しを請ふ。そんな物語の舞台の地であるが、今では観光名所となり、どこへ行っても観光客がたくさん居た。

 

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曇りがちな秋の空に見えたのが小倉山だらうか。定家がこの辺りで百人一首を選んでから 800 年以上過ぎてゐる。