京都での三日目

2018-10-24 (水)(平成 30 年戊戌)<旧暦 9 月 16 日>(赤口 己丑 八白土星) Evert Eilert FN-dagen 第43週 第 25459 日

 

娘は少し疲れて、今日はホテルで休みたいと言ふ。それで部屋で休んでもらって、同居人と僕と二人が孫を見ることにした。他の人たちにはそれぞれの京都を楽しんでもらった。三人が部屋にずっと居るのは良くない。孫を乳母車に乗せて散歩に出た。自分で歩きたがる時には歩かせた。最初は東本願寺の境内で時間を過ごしたが、他に公園はないものかと、少し町を歩いてみることにした。幼児が乳母車に座った高さは自動車の排気ガスを受けやすい気がする。それで少し気を使ふ。渉成園の中ほどから北に向かふ通りを歩いてみた。五条に出るまだ少し手前の左側に公園があった。それでその公園で遊ばせた。公園の奥に、黄色いのれんに青い字で「そのうち」と書かれた喫茶店があった。黄色と青の組み合はせがふとスウェーデンを思はせた。喫茶店といふより普通の民家の感じだが、中に入ると七、八名ほどを収容できる喫茶店であった。昔風の長火鉢があったり、デスクワークができる様な机も置かれてゐて、作業のしやすさではスターバックスなどとは随分様子が違ふ優雅さがあった。店の主人の話ではこの店の内装をつい最近終へたばかりで、天井も壁も白木に包まれ、木の匂ひもした。表の入り口は僕らが入った公園口とは反対の側にある。もう一本西側の筋から、細い路地をクランク状に入るらしい。店の主人からおもちゃを色々と出してもらって孫はそこで楽しく遊ぶことができた。コーヒーだけでそこに居させてもらって申し訳ない気がした。帰る時には部屋につってあった干し柿をひとつもいで持たせてくれた。とても雰囲気のある喫茶店であった。それから三人はまたあてのない散歩に出た。今度は東に歩いて、鴨川に出た。正面橋を渡り、川沿ひに一区間だけ歩いた。孫は川べりの散歩がお気に入りであった。五条大橋を渡って、また南の方へ戻ることにした。孫は京の五条の橋の上で、欄干の隙間から鴨川をいつまでも眺めた。幼児に記憶は残らないと思ふけれども、この鴨川の風景が心象風景として幼児の胸に刻まれることは間違ひないと思った。京の魅力といふものは、歴史的な神社仏閣だけにあるのではない。人々が普通に暮らす町の何気ない雰囲気の中にあるものと思ふ。

 

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この喫茶店で落ち着くことができた