メガネ探し

金 旧暦 8月9日 仏滅 甲午 九紫火星 上弦 Anita Annette V36 24674 日目

重陽節句。僕はレージーな一日を送った。レージーな日には良くないことが起きる。同居人と買ひ出しに行った後、家でランチを食べ、その後何もする気がなくなって、ちょっと横になった。しばらくして起きようとすると、メガネが見当たらない。身の回りの整理整頓を心がける様になってから、モノ忘れ、モノを探す時間が格段に少なくなったと内心で思ってゐたのに、今日はその自負をくじかれた。いつもはベッドから手を伸ばせば手探りでメガネが見つかるのに、それが無いのだ。地震や火事や緊急事態の時、パッとメガネをかけられる様に普段から心がけてゐた筈なのに、悔しい。無論これは自分が悪かったのだが、いたづら心で同居人に「君がどこかへ隠したことは無いかね?」と聞いた。すると同居人はその質問を真に受けてしまって、二人して家の中のメガネ探しが始まった。懐中電灯で床の隅々を照らすやら、布団を全部外してみるやら、玄関のジャケットのポケットを調べるやら30分以上は探し回ったと思ふ。どこにも無い。「絶対にある」といふ信念の隙間に「神隠し」はやはりあるのだろうかと疑ったりもする。たうとう最後に見つかったのは、タンスのドアを開いた棚の手拭置き場の上だった。首を温めるために巻く手拭は毎日取り替へるので、洗った手拭がまとめてたたんで置いてある。その上にちょこんとメガネが乗ってゐたのだ。何故そこへ置いたかは分からない。無意識にそこに置いたに違ひない。無意識は恐ろしい。街でこちらの無意識の隙を突かれて犯罪に合はないとも限らない。どうすれば無意識にやってしまふ事を防ぐことができるか、今日はまた課題を作ってしまった。日本語の「気をつけろ」とは、「無意識の一瞬を許すな」といふ意味なのだ。