吉川幸次郎の「心喪の説」

木 旧暦 11月7日 大安 丁卯 四緑木星 Stig V51 24407日目

戦後70年目の今年も後残すところ2週間になってしまった。僕の手元に終戦の年(昭和20年)の文藝春秋10月号がある。表紙を入れても32ページだけの薄い冊子である。最もこれは戦後50年目の年に文藝春秋が10月号の綴じ込み付録としてつけた復刻版である。引越しの度にどうかなりさうなのを、捨てがたく思って今まで取っておいた冊子である。執筆者は菊池寛吉川幸次郎中谷宇吉郎大佛次郎など、当時の錚々たる名士が敗戦直後の感想を述べてゐる。読んでみると心に訴へる文章ばかりである。例へば吉川幸次郎の「心喪の説」には終戦の大詔の解説がなされてゐる。8月15日の玉音放送の内容が難しかったのは雑音のせいで聞き取りにくかったためばかりではない。当代一流の学者に解説してもらって初めて陛下の御心のかたじけなさが分かるのである。今日何気ない偶然でそこをパラパラと読んで感じるところがあった。