2021-01-31 (日)(令和3年辛丑)<旧暦 12 月 19 日> (赤口 己卯 七赤金星) Ivar Joar  第 4 週 第 26287 日

 

クリスマス、お正月までは雪が降らなかったので今年はもう降らないのかと思ってゐたが、大寒になってからまとまって降った。昔、中学校で習った「雪」といふ詩を思ひ出した。「太郎をねむらせ、太郎の屋根に雪ふりつむ」といふ詩である。三好達治の詩はこの他に、高校で習った「甃のうへ」といふ詩を知ってゐるだけである。三好達治の「甃のうへ」や亀井勝一郎の「大和古寺風物誌」を見ると、青春時代の甘酸っぱい思ひ出が今もツンと蘇ってくる。あまり本を読まないので教科書に出てきたもの以外は何も知らないといふのが実情である。三好達治は短い期間であるが、福井県の三国に住んだことがある。数年前、東尋坊近くの有磯遊歩道を散歩した時に、そのことが印象に残った。三国では詩人の高見順も生まれてゐて、あの辺りはちょっと文学的な雰囲気があって好きである。三国は僕の生まれた町からは何ほども離れてゐないのであるが、子供の頃は交通不便であったこともあり、三国海水浴場へ連れて行ってもらった以外は、その町のことをほとんど知らずに過ごした。ずっと後年になって、日本へ出張に行く様になり、故郷にも寄る機会が増えた時に、高校時代の友達と奥様が三国に案内してくれたことがあり、その町の歴史的な風情を初めて味はった。味はいのある町であることに驚いた。ところで、三好達治に戻るが、岩波新書の「新唐詩選」は前編が吉川幸次郎、後編が三好達治の著である。「新唐詩選続編」の方は前編が吉川幸次郎、後編が桑原武夫唐詩を読んでもあまりわからないのであるが、去年であったか、ともかくもそこに出て来る詩をいちど手で全部写し取った。その時にその解説にも目を通したが、むしろその解説文の方に感銘を受けることが多かった。今から思ふと昭和の偉大な人たちであったと思ふ。

 

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氷点下7℃。風もないので散歩は気持ちよかった。