ヘッドフォン

水 旧暦 10月4日 先勝 丙子 三碧木星 Gustav Adolfsdagen V45 23647日目

耳が遠いので、テレビドラマの科白など日本語であっても聞き取れないことが多い。何日か前にヘッドフォンでテレビ放送を聞いてみたら素晴らしく良く聞こえるので驚いた。コツコツと廊下を歩く靴音までが頭の中に響いて、ドラマの鑑賞がそれまでと全く異なることに気づいた。僕はこれまでテレビをほとんど見ない人間であったが、こんなに良いなら少し考へ方を変へても良いかと思ふやうになった。しかし、テレビの音声をヘッドフォンで聞くとスピーカーは消音されてしまふ。一人だけで見るテレビならそれで良いが、二人で見る時は都合が悪い。それで、音声のミニジャックが二人用に分かれるケーブルを町で探して買って来た。これがあれば二人でヘッドフォンで聞けていいやと思ったのである。「どうだ、良いだらう」と言って僕が自慢してみせると、同居人は全く興味を示さずに、「あんた何考へてるの? そんなものをかぶってテレビを見たら鬱陶しいだけぢゃないの」とまあ、こんな調子である。若い恋人たちのやうな気持は分からないものらしい。やむなく僕は今日、せっかく買って来た二股ケーブルをくるくると巻いてしまって、音量を大きく上げて、同居人と一緒に半澤直樹を見た。