終わりのない旅

金 旧暦 6月12日 大安 丙戌 五黄土星 Sara V29

ハッピーエンドという言葉があるが、あれはお芝居とか物語の上だけでの話である。何故って現実の世界には幕がないから、つまり終わりがないからである。「完」はなくて「続」の連続である。そんなことを言うと、人の死は終わりではないかと言う人もいるかもしれないが、それは終わりのように見えて、僕に言わせれば、終わりではない。それはひとつの通過点に過ぎない。だから人は、「それでもリンゴの木を植える」ことができるのではないだろうか。司馬遼太郎は「世に棲む日々」という小説を書いた。そのタイトルは終わりのない旅を暗示しているようでもある。僕も会社生活が残り少なくなってきて、どうかするとここで逃げ切ろうと言う気持が無意識のうちに働くが、いい加減な気持でいるとその報いはいつか必ず自分に巡ってくるだろうと思う。因果応報の摂理は僕にとっては絶対的な真理である。過去の自分が間違っていたのなら、その報いは自分で受けなければなるまい。そういう自覚のない人間に仏祖の憐れみもイエス・キリストの贖罪も分からないだろうと思う。