小泉元総理の原発即時ゼロ発言

水 旧暦 10月11日 友引 癸未 五黄土星 Kristian Krister V46 23654日目

小泉元総理はこのところ「原発を即時ゼロにせよ」と発言してゐるやうで、その鼻息があらい。もしも日本が、いや世界中の人々が、原子の火から撤退することで本当に救はれるのであれば、それは耳を傾けなければならない意見であらうと思ふ。しかし、本当にさうであるかどうかは僕には非常に疑はしい。かういふことは人気取りといふレベルの発想でことを決められては困るのである。それは文明崩壊の轍を踏むことになるから僕は案ずるのである。この地上には、マヤ文明だとか、イースター島の文明だとか、実に様々な文明が、かつ興ってはかつ滅んで来た。「文明は如何に崩壊するか」は非常に重要な研究課題であるが、僕たちの文明もいつかは崩壊するのではないかと僕は危惧してゐる。その来るべき崩壊が過去の文明崩壊の場合と決定的に異なるのは、今度は全地球な規模で崩壊が起こるであらうといふ点である。そのやうな崩壊に至る原因のキーワードは、「人口」、「食糧」、「水」、「環境」、「エネルギー」である。僕たちはここで「原子力から撤退することによって文明が救はれる」のか、逆に「原子力を利用することで文明が救はれる」のかを良く考へなければならない。その回答は小泉元総理が単純に考へてゐるほど自明なことでは無い。福島の原発事故で甚大な被害を出したことに懲りて、「もう原子力はこりごりだ」と考へる人の気持はよく分かる。あれは本当にあってはならない出来事であった。しかし、だからといって、原子力から撤退して他のエネルギーだけを頼りにしようとすれば、それはそれでまた人類は文明の崩壊への道を早めるのである。より長期的な視野に立てば人類はこの先原子力に頼らざるを得ない。それは、さうしなければ経済が発展しなくなって困るからとか、さういふレベルの困り方とは違ふ問題に僕たちは向かってゐる。そこを良く考へて欲しいと思ふ。