顔パス

月 旧暦 5月16日 友引 辛酉 七赤金星 Johannes Döparens dag V26 23511日目

「顔パス」という言葉が昔はあった。誰にも良く知られた人はきちんとした身分証明書を提示しなくても顔で通してもらえるような場合に使われた。世の中が進むにつれてそういう特権を認めるような制度は廃れていったと思う。けれども今はまた新しい顔パスが提案される時代に来ているらしい。それも全く有名人でなくても通ってしまう顔パスである。ある人の顔をカメラがキャッチすると、瞬時に膨大な顔写真のデータベースの中からその顔の持ち主は誰で、住所はどこで、生年月日はいつで、と言うような基本情報がすべて分かってしまうと言うのである。こういう技術がうんと進めば、電車の改札口を通過する時にカードをかざさなくても誰がいつどの改札口を通過したと言うことが分かってしまって、使った電車賃がネット上でひとりでに清算されることだって技術的には可能だろうと思う。銀行の窓口でカメラに向かって、僕だよ、1万円下ろしたいんだ、とつぶやけばすっとお金が出てくることだって考えられる。まさかそういう時代が来るとは思わないけれども、技術はそれを可能にするところまで来ていることがちょっとこわい。星は何でも知っている。機械も何でも知っている。秘密の逢瀬さえ機械に暴かれてしまう時代に、人はどんな恋ができるのだろうか。草食系男子がどんどん増えるのもさからえぬ時代の流れだろうか。