スウェーデンの原子力安全基準

土 旧暦 10月25日 仏滅 癸卯 三碧木星 Virginia V49 23314日目

昨年の福島の原子炉事故以来、その教訓は海外ではどのように生かされようとしているのか、という疑問は当然僕も思うところである。開発途上の国々は殆ど無反省で、原子炉導入計画を変更してもいないが大丈夫かなとも思う。自分が住んでいるこのスウェーデンでは果たしてどうなのだろうと、僕はかねてから密かに疑問に思ってきた。何しろかつては2010年までに原子力をフェーズアウトしようと国民投票で一大決心をしたのに、結局実現することができなかった国である。原子炉の運転を続ける国が福島の事故に無関心であるはずは無い。けれども、政治家達はそのことにあまり触れないようであるし、世論もドイツのように再び脱原発をめざそうという高まりも感じられないように思う。けれども、NY TEKNIK 12月5日号に、原子力規制庁に相当する機関が発電事業者に対して新たな非常時冷却系統の設置の要求項目を1月から出そうとしていることが書かれていたので、ちょっとそれをここに引用させてもらう。

1. 全電源喪失でも独立した計器、制御機器が機能しなければならない。

2. 外部水源から独自の供給設備、例えばディーゼルタービンなどで、原子炉圧力容器に注水が可能でなければならない。

3. 原子炉圧力容器への注水は最低でも1秒間に20リットル以上なければならない。

4. 新・非常時冷却系統は電源喪失が起きてから30分以内には完全に機能しなければならない

5. 水とディーゼル燃料は長時間運転(数週間とか、数か月の意味らしい)のために補給できなければならない

6. 新・非常時冷却系統はテロ攻撃、場合によっては航空機の墜落事故までも想定して保護されなければならない。系統は屋外に別置きでなければならない。

というものであった。追加の外部水源を用意すべきであるという案は福島事故直前に既に検討されていたが、福島事故の教訓としてそれだけでは足りないと判断し、上記のようになったそうである。この通りのものを追加設置するとなれば1発電所あたり10億クローネもの費用が掛かるということで、従来からある非常用復水器などで注水能力は十分ではないかという議論もあるそうである。