忍耐トレーニング

土 旧暦 8月14日 先負 癸巳 一白水星 Mikael Mikaela V39 23244日目

若かった日の父の怒りは、幼かった僕に怖かったばかりではなく、あの怒りをぶちまける激しい血が自分の体内にも脈打っていることが、別の意味で怖かった。本当にまだ小さかったある時、祖母が母に「あの子には刃物を持たせてはいけない、何をするかわからないからね」と話しているのを偶然聞いて、それはいつまでも僕の耳の底に残った。祖母は何かあるごとに、徹頭徹尾忍耐することを僕に教えた。僕は素直に従った。僕の小学校時代は、そのまま祖母による忍耐トレーニングの時代であったと言っても良いくらいである。父が怒りを発する時は、格好の反面教師となって、ああなってはいけない、あの同じ血が自分だから気をつけろと、自分で思うようになった。父は次第に怒らない人間になっていったが、長じて人と円満に社会で暮らしていけるようになるために、あの時、祖母が僕に施してくれたトレーニングを思うと涙ぐんでしまうことがある。教育とは一人一人のもって生まれた性格を知った上で、それに合わせるような施しをするべきものであるということを今更のように思う。同時にまた、自分は今なおどれくらい怒りやすい人間で、どれくらい忍耐強い人間であるか、自分でわからない。メンタルな忍耐トレーニングに終わりはないことをもあわせて思う。