少子高齢化

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経済と福祉とはどこまで協調できてどこから背反するのだろう。人が集まればもうそれだけでひとりでに経済は良くなる。東京と地方都市を比べればわかる。人口はそれだけでもうパワーといっても良い。中国やインドが脅威であるのはその人口が大きいからだ。経済の成長を思えば、日本の少子高齢化を憂える声は分からないでもない。では反対に人が少なくなればもうそれだけで福祉が良くなるだろうか。そうは言えない。しかし少なくとも良くなる可能性は出てくると思う。僕はスウェーデンに来て何が一番良いですかと聞かれたら、人口が少ないことです、と答えたい。どこへ行っても空いているのは本当に過ごしやすい。豊かさとは便利さを人口で割った指数である。スウェーデンという国がハンディキャップを持つ人にやさしいと一般に思われる最大の理由は、まず、どこへ行っても空いているからだ。例えば渋谷駅前の交差点の人ごみの、横断中に肩と肩とが触れあって雨の日に傘もさすことができないような町は福祉の町とはなりえない。あれは頑健な体力を持つ若者のための町である。昨日書いたようにガソリンスタンドでオイル交換もしてもらえないような状況にこの国がなっているのは人口が少ないからそうなるので、そういう不便をかこつけれども、人口の少ない町というのは住みやすい。日本で地方の過疎化が問題とされることがあるが、僕に言わせれば、あれは貴重な地域が生まれつつあるのだ。今の情報化時代、地域ごとの特質と結びついた産業を助長して、少しの工夫を加えれば、日本のあちこちに住みやすい町が実現できるような気がして仕方がない。東京の一極集中を緩和していけば、少子高齢化は、一般にささやかれているほど危機ではないと思う。