いずくんぞ死を知らん

月 旧暦3月16日 赤口 癸卯 一白水星 満月 Valdemar, Volmar V16 22714日目

死後の世界がどんな風であるのかは誰にもわからない。どんなに科学が発達してもそれは永遠の謎のように思える。僕自身はそこはきっと何もない世界であろうと思う。もしも本当に何もない世界に行くことができて、しかも何もないという認識さえも意識にのぼって来ないのなら、それはまた大きな福音ではあるまいか。極楽がない代わりに地獄もない。褒められもしない代わりにけなされることもない。貯金もない代わりに借金もない。この世に体験して恥ずかしくて人に言えないことをきれいさっぱりと忘れられる。実にすっきりしている。しかし、そういう世界へ行くことが出来るかどうかは、いまはの際に、この世へのあらゆる未練をきっぱりと捨て去って出発できるかどうかという一点にかかっているのではあるまいか。死というものが、自然の摂理として、この世に生きとし生けるものすべてに例外なく用意されているプログラムであるならば、それはそんなにも恐ろしいものであろうはずはないとも思う。