航空管制官の裁判

金 旧暦 9月22日 赤口 壬子 九紫火星 Viola V43 22542日目

10年ほど前に焼津市上空で日航機の異常接近があって、どちらかが急降下したせいで機内に多数のけが人が出た。パイロットはどんなにヒヤッとしたことかと思う。航空管制官が便名を言い間違えたことがニアミスを起こした原因であるとされて、今日の裁判の結果は有罪となった。この判決は厳しすぎると思う。事故に至る原因は大抵の場合、複合的なものであり、ただひとつの間違いが原因で直ちに事故が起きることなど考えられない。ちょっと言い間違えることなど、誰の日常にもよくあることである。人間は間違える動物である。ちょっとした間違いをお互いのコミュニケーションで修正しあいながらものごとは進行するものである。安全を形式的に最優先に考えた判決を出さなければ怪我をした人たちは納得しないのかもしれないが、誰か悪かった人間をともかく出しておきさえすればその場をしのげる、というような安易な考えで判決が決められたような気がして、僕は納得できない。こういう事件で特定の個人が処罰されるのであれば、日本のあらゆる産業で人間たちはピリピリとなり、常により高い緊張を強いられて、近づきがたくなり、結果として安全は却って遠のくものである。心の中でしまったと思っている人間に対して追い討ちをかけるのでは無く、不問に付すくらいの度量のある裁判こそが明日の日本の安全を作るのである。