アメリカの臨界前核実験

水 旧暦 9月6日 友引 丙申 七赤金星 Berit, Birgit V41 22526日目

アメリカが臨界前核実験をした。臨界前核実験というのは核爆発に至るほんの少し手前で反応を停めてしまって、そこまでに得られたデータを基にして、やめなければその先に続くであろう爆発の挙動を数学的に予想して、保有している核兵器が年月を経た今でも果たして有効であるかどうかについて検証するために行っているのである。非常にきわどい実験であるから、試験は無論地下深い実験室で行われた。誤爆のリスクも皆無とはいえないのではないか。核兵器なき世界を標榜するオバマ政権下では初の実験となった。国際社会からは当然非難を浴びることになろう。僕自身は核兵器には全面的に反対であるし、如何なる国といえども今後新たに核兵器を持とうなどという話には到底ついていけないけれども、アメリカが実際に爆発を伴わないこの実験をやること自体は許されるのではないかと思っている。それは矛盾ではないかと言われれば確かに矛盾であるけれども、世界から核兵器を直ちに皆無には出来ない現状からするとやむを得ない妥協点であると思う。ドカンと天地を震わせて爆発させるよりも遥かに高度な理論が必要な実験であることを思えば、そういう実験を可能にする高度な文明への尊敬すら、心のどこかに禁じえないのもまた事実である。世界で核を保有している国々には姑息な考えの国が多い中で、アメリカだけには、よその国であまり見られることのない良識が残っていることを僕は信じたい。