東海村

月 旧暦  11月 18日 仏滅 己丑 二黒土星 Gottfrid V51 21860日目

この十年くらいの間に、日本の各地で地方自治体が相次いで合併された。結果として郡・町・村が大幅に少なくなった。明治時代には廃藩置県が実施されたが、現代は廃郡置市をやっているみたいな趣がある。子供の頃、郡部に住んでいた僕は都会に憧れて、市と呼ばれる町に住む人達を羨ましく思ったこともある。ところが今ではどんな過疎に悩む地域でも住所上の表記は市であることが多い。グローバル化と大型店の地方進出と廃郡置市とはセットになって各地に進んだ。そんな中で、昔から村とは名ばかりの町がある。茨城県東海村である。ここは今でも村である。今日は久々にこの村に来た。まだ若かった頃、この村に出張に来ることも多かったから東海村のことは割と良く知っているつもりであった。ところが何年か前にこの村で原子力の臨界事故があった時は本当に驚いた。原子力関連産業といっても幅広いが、ウランを直接扱うような、そんな生々しい設備が実際に町の中にあったということに驚いたのである。そんな作業は遠く人里はなれた奥地でなされるのであろうというのがそれまでの僕の漠然とした想像であった。あのことがあってから、原子力は信頼を失った。核燃料サイクルの確立は道半ばで、日本の原子力は将来への課題を残したままになっている。