昔の思ひ出

2024-04-14 (日)(令和6年甲辰)<旧暦 3 月 6 日>(友引 戊申 六白金星) Tiburtius    第 15 週 第 27455 日

 

春の陽気に誘はれて少し散歩してみた。どうかすると汗ばむほど暖かであった。知らないうちに新しい家やきれいなアパートがたくさん建ってゐた。ふと思へば、僕が子供であった頃はこのあたりはずっと田んぼであった。家の裏には小さな川が流れてゐるのだが、その川の対岸はもう田んぼで、田を耕す牛が目の前まで来たものだった。田んぼはずっと向かうの山の麓まで続いた。絶景であった。夏休みの宿題には絵を書いたが、この遠くの山までずっと続く田んぼの風景を写生することが多かった。そんな田んぼの中を今僕は歩いてゐるのだなと思ふと妙な気分になった。山の方に目をやれば、麓を走る自動車が垣間見える。北陸自動車道である。少し北よりの場所に丘の様な小さな山があり、そこは昔、焼場になってゐた。その丘からうすい煙が立ちのぼるのが家の裏から見えた。そんな日は、ああ、今日は誰か亡くなったのだなと分かった。夏の夜には家の裏の小川に蛍が群れ飛んで、何だか風情があった。みんな遠い昔の思ひ出である。

散歩の時に。左の白い建物は福井県立丸岡高等学校。昔はもっと町の中にあった。