急ぐべからず

2024-02-03 (土)(令和6年甲辰)<旧暦 12 月 24 日>(大安 丁酉 七赤金星)下弦 Disa Hjördis    第 5 週 第 27388 日

 

徳川家康の遺訓に「急ぐべからず」と云ふ言葉が見える。老年になってからは大事にしてゐる言葉だ。近頃は「タイパ」と云ふ言葉もあるらしいが、高度のタイパを追求する人には縁のない言葉かもしれない。老境に至っても、やりたいことはあれこれと尽きないものだ。そんな欲望を少しづつ減らしていって、しまひに「生きてるだけで良いではないか」のレベルに達することができれば良いが、今はまだ煩悩の塊だ。たくさん寝るので起きてゐる時間は短い。その短い時間にあれこれとやりたいことを詰め込むのは良くない。何かひとつのことをやり始めたら、「これは何時までに終はらなければならない」とか思はずに、落ち着いてそのことに集中して、気の済むまでそれをやったら良いと思ふ。当然他のことはできなくなるが、それはまた翌日に回して、翌日何かを始める時にどれから始めるべきかを決めたら良いのだと思ふ。掃除をするときも何分以内に済ませなきゃとか思はずに、気長に心を込めて掃除をするのだ。そして疲れたら何もせずにいつまでもボッとする。何かを始めたら他のことは忘れ、「今は安心してこれだけやってゐれば良いのだよ」と自分に言ひ聞かせる。それが「急ぐべからず」の極意ではないかと思ふ。毎日こんな贅沢な暮らしをさせてもらって申し訳ない。

節分の日の落日