河童忌

2023-07-24 (月)(令和5年癸卯)<旧暦 6 月 7 日>(赤口 癸未 八白土星) Kristina Kerstin    第 30 週 第 27194 日

 

今日は河童忌。芥川龍之介は夏の暑い季節に睡眠薬を飲んで自殺した。まだ35歳、1927年のことである。今は青空文庫といふ便利なものがあって、そのほとんどの作品を電子版で無料で読むことができる。僕が若かった頃には、そんな時代が来るであらうとは想像もできなかったから、芥川龍之介全集を買った。スウェーデンへ引っ越した時もそれを持って来た。紙の本にはむろんそれなりの良さがあるのだが、僕はこの全集の中のごく一部をこれまで拾ひ読みしたにすぎない。随所に知らない言葉がたくさん出てきて、真面目に辞書で調べながら読書すると大変な時間がかかってしまふ。いつかゆっくり読めたら良いなと思ひながらもう高齢者になってしまった。隠居生活は予想してゐたほど暇ではない。菊池寛は1923年に文藝春秋を創刊したが、その巻頭を飾るエッセイは「侏儒の言葉」といふ題で、芥川龍之介が執筆した。芥川が自殺した時の菊池寛の弔辞は胸をうつ。ちょうど数日前に芥川賞の発表があったが、新人作家を顕彰するために芥川賞直木賞を設けたのも菊池寛であった。文筆家が貧しさを脱して食べていける道を開いたのも菊池寛であったかしれない。あれだけの名文をものした芥川であっても菊池寛が手を差し伸べる前には原稿料はひどく安かったのではないかと思ふ。このブログを書いたら、滅多に広げることのない芥川龍之介全集をどれかひとつ開けてみようかと思ふ。

プールの前の散歩道