桜田門外ノ変

2023-04-28 (金)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 9 日>(大安 丙辰 五黄土星)上弦 Ture Tyra  第 17 週 第 27107 日

 

日本経済新聞辻原登の小説「陥穽 陸奥宗光の青春」が連載されてゐる。見るとはなしに毎日読んでゐる。最近桜田門外ノ変の場面が出てきた。163年前の話である。幕府は大老井伊直弼の死をなかなか公表しなかったといふ。祝ひの日の朝の登城行列でテロリストにやられてしまって、公儀の威光は地に落ちた。大勢の見物人の前で起きた大事件は隠さうとしても隠し切れるものではない。護衛の共侍は雨合羽を羽織り、刀も袋に包んであったから抜刀する間もなかったといふ。現代の要人の警護のあり方を考へる上にも参考にせねばならない話である。この朝、雪が降ったことも災ひしたが、血生臭い事件がこの雪の白さのゆえに美化されてしまった感がある。雪は偶然に降ったのだらうか。大老の首級が井伊家に戻って、彦根藩邸で藩医岡島玄建により胴体と縫ひ合はされた、といふところは肝が冷える思ひがした。これくらいのことができなければお医者さんにはなれないのだな。勉強がよくできるばかりでなくて、やはり、お医者さんは偉いものだと感心した。

この花は昨日は咲いてなかったと鈍感な僕でも言へる