平家物語 巻第四 「宮御最期 6」

2023-03-30 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 2 月 9 日>(仏滅 丁亥 三碧木星)Holger Holmfrid  第 13 週 第 27078 日

 

平家の侍どもは、あのにくい仕打ちをしてくれた競の瀧口を何としてでも生け捕りにしたいとうかがってゐた。けれども、競の方では相手のそんな気持ちを良く知ってゐるので、簡単には捕まらない。さんざんに戦ひ、重傷を負った後、腹かき切って死んだ。圓滿院大輔源覚は、いまは宮も遠くまで落ちのびなさったらうと思ったのか、引き上げにかかった。大太刀大長刀左右に持って敵の中を打ち破り、宇治河へ飛んで入り、武器をひとつも捨てず、水の底をくぐって、むかへの岸にわたりつき、高いところに上りあがり、大音声をあげて、「いかに平家の君達よ、ここまで登るのは御大儀か」と言って、三井寺へ帰って行った。

春の雪はすぐに解けてくれると思ふ