王様が我が町へ

2023-02-09 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 19 日>(先勝 戊戌 八白土星) Fanny Franciska 第 6 週 第 27029 日

 

スウェーデン国王のお名前は、カール16世グスタフ (Carl XVI Gustaf) と言はれる。日本では天皇のお名前は敬って申し上げないのが礼儀とされてゐるが、ヨーロッパにはその様な習慣がないので書いてしまった。この王様は1973年に即位され、今年は戴冠50周年にあたる。これを記念して国王と王妃とはスウェーデンの各地をお回りになることになり、その手始めとして、今日、Nyköping に御幸になった。僕は町まで用事があったので、離れた場所から様子をみたが、町の中心部は大変な人出であった。多数の警官が物々しい警備に当たり、和やかにお祝ひする雰囲気ではない感じがした。無理もない。スウェーデンでは去年からイスラム教の聖典であるコーランを焼くデモがあったり、その反対者によるデモがあったり、雰囲気的に人の集まる場所は危ない。その様な場所には近づかない方が良いのである。身動きがとれないほどに人が集まると、それだけでもう重大事故が起こりうるのだが、それにも増して、テロを警戒せねばならない状況がある。警備が厳重なのにはそれなりに理由があると思ふが、そのための費用もまた膨大になるとかいふ噂も聞いた。ところで、スウェーデン国王はかなりの親日家で、日本にも何度か行かれたことがある。1985年につくば万博があったが、それにも行かれた。その頃僕は日本の会社に勤めてゐて、ある日常磐線特急の「ひたち何号」かに乗って出張に出たが、万博会場に近い駅は特急の停車駅ではないのにその日に限って停車した。後の車内放送で、スウェーデン国王がその駅でお下りになったことを知った。その2年後に、僕自身が日本の会社を辞めてスウェーデンに行くことにならうとは当時は夢想だにしなかったが、この時のことはなぜか記憶に残った。単に昔を懐かしむばかりの意味でなく、それぞれの時代に必要となる警備体制の規模の違ひが世相として現れることを思ふのである。

Nyköping