平家物語「無文 2」

2022-02-21 (月)(令和4年壬寅)<旧暦 1 月 21 日>(先負 乙巳 六白金星) Hilding 第 8 週 第 26682 日

 

すると妻戸をほとほとと打ちたたく音がした。重盛は「誰かあの音を調べて参れ」と言はれた。「瀬尾太郎兼康が参りました」。「どうした、何かあったのか」。「ただいま不思議なことがございました。夜が明けるのが遅く、じれったく思はれるほどでありましたので、急ぎ申し上げようと参った次第です。人をお払ひください。」と言ふので、重盛は人をその場から去らせて、二人だけで対面された。兼康は自分の見た夢の様子を始めから終はりまでくはしく申し上げたが、重盛の見た夢と少しも違はなかった。さてこそ、瀬尾太郎兼康は神霊に通じるものであるなと、重盛も感じたのだった。

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Nyköping 川を挟んだ向かうに Västra Klockstapeln (church tower) が見える