現代の Manifest Destiny

2021-11-09 (火)(令和3年辛丑)<旧暦 10 月 5 日> (友引 辛酉 九紫火星) Teodor Teodora 第 45 週 第 26568 日

 

Manifest Destiny といふ言葉は「明白なる運命」のように訳されることが多い。かつてアメリカ合衆国で、現地に住む人たちを追ひ出して西部開拓を進めた、その行為を正当化するために用いられた標語が Manifest Destiny である。「お前たちは文明といふものを知らないから、高い文明の持ち主である我々がここに文明社会を築いてやるのだ。結局はお前たちもその文明をありがたがることになるのだ」みたいな感じで西部開拓を進めたのだと思ふ。大航海時代にヨーロッパの国々がアジアやアフリカに植民地を求めて進出した時も同じような考へで進められたと思ふ。その元には、自分たちは現地の者どもより賢くて正しいのだといふ自負が見て取れる。正しいものが野蛮なものを啓発していくことこそ「明白なる運命」であるのだと、自分たちを正当化したのである。これと同じような考へ方は現代の社会にもあると思ふ。何かの理由でお金持ちになった人が、「人が貧しくなるのは本人の頑張りが足りないからだ」と思ってしまふことも、「明白なる運命」と断定してしまふからではないかと思ふ。豊かな人たちは最新の技術を駆使してますます豊かになり、貧しい人たちは社会からどんどん追ひ立てられていく。かつてアメリカ合衆国で、現地に住んでゐた人たちを追ひ出したのと同じ心情が現代人の心に巣食ってゐるのではないかと思ふ。Manifest Destiny といふ考へは、人生が割とうまくいった場合には、誰でもそれに陥ってしまひがちな危険な合言葉だと思ふ。

f:id:sveski:20211110050146j:plain

Vårdcentralen で季節インフルエンザのワクチン接種が始まってゐる。