下山事件

2020-11-03 (火)(令和2年庚子)<旧暦 9 月 18 日> (友引 庚戌 二黒土星文化の日 Hubert Hugo   第 45 週 第 26198 日

 

夜中に目が覚めて眠れなかった時に松本清張の「下山国鉄総裁謀殺論」を読んだ。下山事件については大体のことしか知らなかったのだが、この本を読んでよくわかった。日本が連合国に占領されて以降、朝鮮戦争が始まる前あたりまでの日本の様子がどの様であったかが窺へる意味でも興味深かった。松本清張の推理は説得力があり、多分この通りであったのだろうとどんな読者も思ふのではないか。表向きには自殺説、他殺説が入り乱れ、重大事件であるのにもかかはらず警視庁がきちんとした捜査結果を発表することなく捜査は打ち切られた。そのこと自体、その背後に黒い影があることを示唆する。GHQ 内に派閥があったことなど僕は全く知らなかった。GHQには日本を民主的な国にしようとする方針があったのだが、それがあまりにも行きすぎたものだから、日本の社会はリベラルを通り越して共産化する傾向を示す様になった。GHQでは行き過ぎた民主運動を抑へるために保守的なグループの勢ひが強くなった。その様な背景が事件の裏にあることなど、この本を読むまで全然知らなかった。特殊部隊の恐ろしさも改めて感じた。今もきっと特殊部隊は恐ろしいのだと思ふ。戦後の日本といへば、高度経済成長以降しか知らないので、それ以前の、この様な敗戦国として占領された状況を知るのは、僕には新鮮であった。

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色とりどりの垣根