日本学術会議の任命問題

2020-10-06 (火)(令和2年庚子)<旧暦 8 月 20 日> (先負 壬午 三碧木星) Jenny Jennifer   第 41 週 第 26170 日

 

日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人を内閣総理大臣が任命しなかったことに対して抗議の声が広がってゐる。学問の自由のためには抗議することが正しいのだろうと思ふ。だが、「任命する」といふ行為にはどの様な責任が伴ふのだろう。コトがうまく運ばなかった場合に、「だってそんな人を任命したのはあなたぢゃありませんか」と任命者がもし責任を問はれるなら任命に慎重になるかもしれない。だが、任命者が自分の裁量で勝手に決められるとなるとそれは問題が大きい。例へば国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命するのは天皇である。もし天皇が、「たとい国会の指名を得てゐても私はこの人が内閣総理大臣に相応しいとは思はない」と拒否されることは現実にありうるのだろうか。昭和の前半までは陸海軍の統率権を含む権力が天皇にあった。昭和天皇は戦争を回避させたいと強くお求めであったのだが、軍部の決めたことには反対してはいけない強い圧力があった。お膳立てされたことをそのままスッと認める他に道がないなら任命といふ行為にどれだけの意味があるのか、とも思ふ。もちろんその一方で、任命者のお気に召すままでは民主主義が危うい。どんな碩学と雖もその意見がいつも正しいとは限らない。その辺も含めて、学問の自由を論ずるべきだと思ふ。

 

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一日雨だった。散歩は取り止めようと思ったが、夕方にやみ間があって思ひ直して歩いた。