あなたを待てば雨が降る

金 旧暦 9月 22 日 赤口 辛丑 五黄土星 Martin Martina V45 25112 日目

フランク永井が「有楽町で逢ひませう」を歌ったのは 1957 年、当時有楽町駅前にできたそごうデパートのキャンペーンソングであったといふ。作詞・佐伯孝夫、作曲・吉田正。僕がまだ小学3年生の頃であった。「あなたを待てば雨が降る、濡れて来ぬかと気にかかる」といふここまでの歌詞を聞いて、初めの頃はこの人は雨を降らせる力を持った人かと子供心に思ったが、何度も聞くうちに、次第に「あなたを待ってゐると雨が降ってきた」くらいの意味だなと思ふことができる様になった。僕の人生で、詩の文語的表現を最初に自覚したのはこの歌であったかもしれない。それにしても、「濡れて来ぬかと気にかかる」などは、もし英語に訳するとどんな風に詩的に言ふのかなと思ふ。十人が訳すると十の表現ができるかもしれない。試しに Google Translate にかけると、”It will rain if you wait for you. I get concerned about getting wet.” と出た。やはり主語を取り違へたり、文語的表現への理解がない。でも、get concerned などは自分では思ひつけなかった言ひ方を教へてもらった気がする。濡れるのは誰かをはっきりさせるためには your getting wet とすべきだらうか。わかりきったことを冗長させては良くないから your など入れない方が良いのだらうか。「気にかかる」といふ言ひ方がなんとも日本的だが、同じ様な思ひは外国人だってすると思ふ。でもこちらの人たちは一般に雨が降っても平気で、傘などささないから、こんな詩を受け取ると、「何、そんなこと心配してたの、バカね」と言はれさうな気もする。試しに僕が答案を作って見ると、Rain while waiting for you. Concern arose about your getting wet. うーん、これで外国人に通じるかな。