月 旧暦 7月27日 先負 癸未 二黒土星 Hans Hampus V35 24663 日目
道元によれば、生活不安の根源は、畢竟、人の欲望にあるといふ。「学道の人は先づ須く貧なるべし」とも言はれる。「財おほければ必ずその志を失ふ」とも。これは聖書の「金持ちが神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通るほうがもっとやさしい」といふ言葉にも通じるものがある。でも、低俗な僕の現実の考へでは、経済的基盤なくして自分の日常生活は成り立たない。貧しければもうそれだけで無条件に神の国に入れるのかといふと、そんな保証もなんだかありさうにない。僕の会社生活の目的は「社会のために」といふ様な気高いものではなくて、もっぱら、「自分と家族とが路頭に迷はずに生きていける様に」といふことにあった。そのためになりふり構はず一所懸命働いて来たつもりである。先づ自分たちの収入で生活ができて、それができたらそれから次のことを考へようとしたのである。しかし今、定年後の暮らしの中で、もしアンビションを持つとすれば、どんな視座に立ってそれを考へたら良いのか、少し考へたいと思ってゐる。毎日、家でブラブラしてゐる時間も、その意味ではそれなりに必要な時間であると思ってゐる。
