ミカル君

土 旧暦 2月18日 先勝 丁未 五黄土星 Emanuel Påskafton V12 24507 日目

ミカル君とは昔福井で一緒に仕事をしたことがある。僕はスウェーデンの会社に勤めてゐたし、ミカル君はアメリカの会社に勤めてゐたから同じ職場ではないのだが、同じ会社である関係から、日本のプロジェクトの出張先の現場で一緒になった。ミカル君はチェコ生まれで成人するまではチェコに居たが、今はアメリカに住んで、仕事に応じて世界のあちこちを回ってゐる。僕が定年退職した後も、たまにスカイプでチャットをくれることがある。今月初めに「僕は今度日本へ行くんだ」と書いたら、ミカル君も同じ時期に日本に来ると言ふ。「もう一度福井に来るかい」と聞いたら、「行く」と答へた。ミカル君はちょっと変はったところがあって、近代的なホテルより日本間のある宿の方が好きなのだ。当時僕は足羽山麓の河甚旅館を定宿としてゐたが、それを知ったミカル君は、僕もそこにすると言って移ってきた。そんなことも昔はあったが、今回も同じ旅館に泊まりたいと言ふ。あそこは一番良い旅館だとも言ふ。それで僕は旅館に電話して予約をした。ミカル君は予定通り昨日の夕方に福井に着いたので、昨夜福井駅近くで夕食を一緒にした。今日は日置さんが奥さんと自動車でミカル君と僕を案内してくれた。ミカル君は5年前にも日置夫妻に色々なところに連れて行ってもらって、本心は今回も会ひたかったに違ひなかったのだが、今日それが実現して、とても喜んでくれた。おかげで僕の方も随分助かった。過去15年ほどの間に日本でのプロジェクトが幾つかあって、スウェーデン人をはじめ、ポーランド人など多くのエンジニアが入れ替はり立ち替はり福井に来た。その昔「日本よサラバ」と覚悟を決めて海を渡った僕であったが、年が巡って日本にプロジェクトが進行し、よりにもよって僕の故郷である福井でその様な機会が訪れた時、僕は身体中が熱くなる様な感激を覚えた。そして高校時代の友人であった日置さんとその奥さんは同僚たちを休みごとに観光案内に連れ出してくれたりした。スウェーデンの会社に戻るとお茶の時間などにその話が出て、「ヒオキサンハイイヒトダネ」と、割と有名人になってゐたのである。そして今日も時間を割いて「越前竹人形の里」やら「永平寺」を案内してもらった。ミカル君は永平寺に痛く心を動かされた様であった。その後訪れた「龍双ヶ滝」は僕自身も初めて訪れた場所であった。ミカル君は僕の家に寄ってお茶を飲んだ時もこの古い家に感激した様で、楽しい一日であった。