一人の生活、二人の生活

月 旧暦 5月5日 先負 甲辰 八白土星 Rutger Roger V23 23854日目

一人暮らしのリズムがある程度身に付いた後でスウェーデンに戻って来て、一つ屋根の下に二人で生活を始めると、例へば掃除は相手が外出するまで始めないとか、やることの順序を相手の予定に合はせる必要が生じて、それは不便と言へば不便である。けれども、もし、一方が他方を介護しなければならない様な状況に陥った場合を想像すれば、この位で不平をならしては罰が当たるとすぐに思ひ当たる。二人の暮らしは不便なことばかりあるのではない。例へば、自分で食事の準備をしなくて済むので、これは大変有難い。同居人はそのことを決して恩に着せたりはしないのであるが、時として、鋭い質問を僕に発するので油断がならない。例へば昼食を食べ、お皿がすっかり空になった後で、「はい、今の焼きそばにはお肉が入ってゐたでせうか?もし入ってゐたなら何のお肉だったでせうか?」と質問して来るのである。「言ひ忘れてゐた大事なことを今思ひ出したよ。とてもおいしかった。良い豚肉を使ったんだね。」「残念でした。鶏肉でした。」ざっとこんな具合であるので、二人の生活では無意味にお料理を口に運ぶだけではいけないのである。