今川節の部屋

木 旧暦 3月1日 先負 己未 八白土星 新月 Irma Irmelin V14 24519 日目

春の嵐が吹きすさんで、花は大概散ってしまったのではないかと思ふ。嵐がなければ明日からの週末もまだ花見が楽しめたかもしれなかったのだが。先月末に、僕は同居人と一緒に日本へやって来た。同居人は滞在が短く、この間に家の片付けや庭仕事などをたくさんやってくれた。ところが、いつでも行けると思ってのことか、この町の観光にはあまり行く機会がなかった。昨年夏開館した「一筆啓上 日本一短い手紙の館」のことも知らなかったので、夕方になってまだ雨が降ってゐたが、その入口のところまで行ってみた。立派な門がある。僕自身もその中に入ったことがない。建物に隣接して市立丸岡図書館(中野重治記念文庫)がある。建ってからもう30年以上になるとか。中には「今川節の部屋」もあり、小さな町の図書館としては立派で中庭もあり、本当に良い設備である。「今川節の部屋」にはご本人が愛用されたらしい蓄音機が置かれてゐる。現代に生きる僕らはスマホなどで聞きたい音楽はいつでも無尽蔵に聞くことができるが、あの蓄音機の時代、世の中がシンとして静かだった時代にはなかなか音楽を聞くことができなかった筈である。現代文明のありがたさを思ふ一方で、生活が不便であった時代の人間の精神性と音楽の関係についても思ひをはせる次第であった。尚、僕のブログでは、毎月、今川節からの手紙を、楽譜の発行された日に、89年ぶりに順を追って転載紹介してゐて、3月分は3月21日がその日であったのだが、その手紙の部分は昨年(2015年)4月9日のブログに一度掲載したものなので、今回はその日のブログには載せなかった。次回は4月23日である。