芥川賞の79年

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スウェーデンに住んでゐても文藝春秋などは電子版で購読できる時代になった。急いで3月号を読みきらないとあと数日で4月号をダウンロードする日が来てしまふ。3月号は芥川賞の受賞作発表やら、その選評やら、第150回芥川賞記念特集やら出てゐた。その時に思ったのだが、将来「日本文学史」を書く人は、平成以降の文学をどの様に扱ふのかなと気にならないでもない。作品の発表のあり方が、インターネットの普及で多様化したのではないかと思はれるからだ。昔の様に「白樺派」だとか、「新感覚派」だとか、作家たちが同人雑誌の下に集まってものを書く時代でもないと思ふ。僕の本箱には中央図書の「注解日本文学史」といふ200ページほどの本がある。高校時代に習った教科書でないことは確かだ。奥付は「昭和49年1月10日六訂新版1刷」となってゐるので、会社勤めを始めた後に買った本である。もし日本文学史の勉強がしたかったのであれば、何も高校生用教科書を使はなくても、読みやすい本はたくさんあるだらうに、何故、手元にこの本があるのか自分でもよく分からない。本文の最後は劇文学の解説になってゐて、脚注欄の最後には「井上ひさし」の名前が見える。巻末には芥川賞直木賞受賞作家作品一覧とノーベル文学賞一覧が出てゐた。芥川賞は第69回まで記載されてゐる。それを眺めると、第150回を数へる今日までに如何に長い歳月が過ぎ去ったか、ため息の出る様な思ひもした。