利根川博士の履歴書

木 旧暦 9月27日 大安 庚午 九紫火星 Edit Edgar V44 23641日目

10月も今日でおしまひである。今月の日本経済新聞の「私の履歴書」は利根川博士であった。利根川博士がノーベル賞をお貰ひになったのは僕がスウェーデンに移って仕事を始めた時であった。昨日の記事であったか、ご家族のことが紹介されてゐて、びっくりしたのはご次男の知(さと)さんが18歳で夭逝されたといふ部分を読んだ時である。いつのことであったかテレビ番組で利根川博士が紹介されたことがあって、その時に映ってゐたのが知さんではなかったかと思ふ、ほんの数秒間であったと思ふが、流れて来たのはブラームスのバイオリンソナタで、まだ少年ながらえらくむつかしい曲をこなしてゐるのに非常に驚いた記憶があり、その部分だけは朧げながら覚えてゐる。神様は本当の天才をごく稀に人間の社会に送り込むが、同時にまた非常に早く取り上げてしまはれるものらしい。あの記事を読むまでは利根川博士がそのやうな深い悲しみを抱えてをられるとはつゆ知らなかった。同情に堪へない。