秋の庭掃除

土 旧暦 9月6日 友引 甲寅 七赤金星 Sibylla V42 23265日目

ご近所総出の秋の庭掃除の日である。あいにく雨が降って、けれども細かい雨であるので、構わずに帽子だけかぶって外に出ると、意外にたくさんの人が出ていた。毎年少しずつ住む人の顔ぶれが変わって、僕などはどの人がどこに住んでいるのか全くわからない。覚えようとしてもすぐに忘れるので覚えようという意志がはなから薄い。要するに無関心なのである。だが、こういう機会にお互いに近所の人を知っておくことは意外と大事なことである。なるべく挨拶を交わすようにするが、やはりとても覚えられない。日本でバーなどに行くと一度で顔と名前を覚えてしまうホステスがいるし、アジアの南の方から来ている若い娘が流暢に日本語を話すので、いつから日本にいるのかと尋ねるとまだ半年だという返事が返ってくることもある。そういう人たちに比べると、何と自分は情けないのだろうと思うのだが、そこでサッと考えを切り替えて落葉を集め始める。するとそこには雨に濡れた落葉がたくさん重なりあって、箒で掃いても熊手でかいても、べっとりと土から離れない。嗚呼、これがあの濡れ落ち葉というやつかと納得して、そこに己の姿が重なるように見えて、また気分が暗くなるのだが、そこでサッと考えを切り替えて如何に楽しくこの作業がやれるだろうかと考える。思いついた方法はひとつ。落葉の1枚1枚がそれぞれ千円札であると自分に暗示をかけるのである。そうすると面白いくらいに作業がはかどることを発見した。集めた落ち葉を回収するコンテナは首尾よく準備されているし、これを機会に庭木を撤去しようという人のために、ちょっとした建設機械まで用意されている。何と手回しの良いことであろう。お昼の頃にはソーセージパンやコーヒーが準備される。そこで一休みすると先日犬に襲われた人も怪我から回復して出て来ていた。回復できて本当に良かったと思う。軽く挨拶を交わした。こんな風にして今年の秋の庭掃除も終わった。